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CSR報告書 2017 事業を通じ、さまざまなシーンで社会に貢献する。私たちNTTファシリティーズのCSR活動の成果をご報告します。

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法政大学大学院 人間社会研究科
教授

土肥 将敦

一橋大学経済学部、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程を経て、2009年に高崎経済大学地域政策学部准教授。2014年より法政大学に移り、2016年より現職。商学博士。著書に「CSR経営−企業の社会的責任とステイクホルダー」共著、中央経済社)、「ソーシャル・イノベーションの創出と普及」(共著、NTT出版)などがある。

SDGsの目標と事業活動

2016年からNTTグループは国連の持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し、今年度NTTファシリティーズは、本報告書において、社会インフラを支える事業者の観点から事業活動とSDGsの掲げる目標の関係性についてまとめている。SDGsの手法は、17の目標から逆算することで必要な企業行動を考えるものであるが、同社は具体的には5つの目標—目標9(産業と技術革新の基礎)、目標7(エネルギーのグリーン化)、目標13(気候変動対策)、目標11(持続的な都市の実現)、目標5(ジェンダー平等の実現)—を事業活動に即してその関係性を示している。国際的な調査によると、日本はジェンダー、エネルギー、気候変動分野等への対応に遅れをとっていると指摘されるが、同社の技術力を活かしたZEB化のようなアプローチ(P3, P12)が、国際社会にインパクトを与えていくことを今後期待したい。また、こうした各目標には合計169のターゲットが設定されているが、テーマによってはこれらのターゲットとの関連性を紐付けながら事業活動と社会課題との接点を問い直していくことで、今後のCSR活動のヒントが得られるだろう。その上で、自社の商品・サービスの環境・社会面に加えて自社そのものの責任ある経営のあり方(例えばP12の自社の低炭素化)の継続的進化を、これまで同様に推進してほしい。

コミュニティ・エンゲージメントの課題

今後に向けた期待として、コミュニティ・エンゲージメントのあり方とその開示について指摘しておきたい。例えば同社はメガソーラー発電所を主軸とする再生可能エネルギーの活用推進事業を全国で展開しているが(P13-14)、これらによる社会的・環境的なポジティブな影響に加え、同社が留意しているコミュニティへの影響配慮や対話手法についても一層の発信を求めたい。メガソーラーは全国に普及するにつれ、その設置ルールや環境・防災面の配慮などにつき、地域住民との丁寧な対話と共存が求められており、同社が同事業活動の国内リーダーとして、コミュニティ・エンゲージメントをどのように構築していくかが注目されよう。同様のことは先進的な都市インフラづくり(P10)などについてもいえ、顧客要件の実現は勿論、地域及び社会の声に寄り添う対話の仕組みづくりに、一層期待したい。

中長期的視点でのCSR計画の重要性

昨年度も指摘したが、CSR中期経営計画の策定について再度指摘しておきたい。詳細版CSR報告書では環境面における中期目標は設定されているが、同様に社会・人材的な側面においても具体的な指標を立てPDCAを回していく大きな枠組みが必要であろう。例えば、ダイバーシティ施策や社会貢献活動(P18)においても、同社がめざすものに加え、どのようなマイルストーンを定め、歩むのか、「達成への道筋」を掲示して欲しい。それによりステークホルダーからの賛同と協働も得やすくなろう。
最後に、CSR報告書は中長期的な視点から「社会にとって良いことは何か」、「会社にとって良いことは何か」について社内全員で議論した結果を、企業価値の向上との関係性のもとに示すべきものと考える。冒頭に述べたSDGsに関していえば、これを契機としたCSRの社内への定着こそ重要である。企業は現在、経営陣やCSR担当者のみならず、「中間管理職や現場への落とし込み」ができているか問われており、CSR報告書等を活かした自社内での展開が期待される。このように企業の事業活動が世界のあり様に密接にかかわり合う時代になった今、本報告書が、結論を急ぐことなく企業の未来をつくるような長期的な視点を持ち続ける指針となっていくことを切に願っている。

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