2009年1月28日
データセンター向け高電圧直流給電用整流装置を開発
~地球環境に優しい次世代の直流給電システムの普及促進に向けて~
株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 森 勇)は、NTTグループとして推進している「直流給電推進の取り組み方針」*1の一環として、地球環境に優しい次世代の電力供給方式として期待されている高電圧直流*2給電システムに対応した高電圧直流給電用整流装置および電圧補償装置のプロトタイプ試作機を完成させました。
本装置を用いた高電圧直流給電システムは、ICT機器への給電電圧を約400Vに設定することで、給電システムのさらなる高効率化、省スペース化、高信頼化を実現するとともに大規模システムへの対応と配線コスト等の低減を図ることができます。
高電圧直流給電システムの2010年の本格導入に向け、都内3カ所のサイトで実証試験を2009年1月より本格的に開始しました。
なお、NTTグループでは、様々な方式による検証を進め、より信頼性、省エネ性、安全性の高い高電圧直流給電システムを構築していきます。
1.開発の背景
NTTファシリティーズは、2000年よりデータセンターのエネルギー消費の増加トレンドを予想し、給電システムの高信頼化、省エネ化を実現するソリューションとして、空調システムをはじめ直流給電システム「DC POWER」シリーズを展開してきました。サーバ、ストレージ、ルータ等のICT機器には、これまで電源に交流が使用されてきましたが、ICT機器内部では、最終的に直流に変換して使用されています。そのため、ICT機器に直流で給電することで変換段数を少なくすることができ、高効率かつ高信頼なシステムを構築することができます(図1)。近年、国内外で注目を集めている電圧値(直流約400V)に設定することで、高効率性、省スペース性、高信頼性のさらなる向上とともに、キロワット~メガワット(MW)クラスのラインナップの充実(図2)への対応、配線コスト、配線ロスの低減を図る事が出来ます。
2.高電圧直流給電用整流装置の特徴
高電圧直流給電用整流装置プロトタイプ試作機は、省エネ性、省スペース性、高信頼性などを実現するために様々な工夫を行っており、以下の特徴を有します。また、最適な給電方式を検討するために、複数の仕様(図3~図5)での実証試験を行っています。
- (1)省エネ性
- 整流器ユニットは、高い電力変換効率(定格入出力時:95%以上)を実現すること、及び冗長方式(N+1:予備機付き)のため常に最適な効率特性範囲内での運用を可能とすることにより、電力使用量の削減、CO2の削減に寄与します。
- (2)省スペース
- 19インチラック1ラックで100kW出力を実現。交流無停電電源装置(UPS)と比較しておよそ半分の省スペース化(当社比)を図りました。
- (3)高信頼性
- 回路構成がシンプルであることや、停電時には蓄電池から直接ICT機器に無停電で給電することで、高信頼性を実現しています。(交流給電システムと比較して、10倍の信頼性)
- (4)設置自由度とスケーラビリティ(拡張性/システム容量への即応性)
- 蓄電池からICT機器への給電に際して、蓄電池からの配線長が長い場合には、電圧低下を補う電圧補償装置により電圧を昇圧することも可能であり、装置や蓄電池の設置場所の融通性が向上します。
また、前述した整流器ユニットの冗長方式は、負荷機器・システム容量の増減に合わせ搭載台数を変更でき、ICT用ファシリティのスケーラビリティに即応することも可能です。
3.実証試験内容
高電圧直流給電用整流装置プロトタイプ試作機を用いて、最適な高電圧直流給電システム構築に向けて実証試験により下記の検討を進めて行きます。
- (1)
- 電力変換回路方式、装置構成・実装の最適化検討、将来の整流装置の大容量化(メガワットクラス)対応に向けた検討、及び安全性の確認
- (2)
- バックアップ方式(蓄電池種別含む)の最適化
- (3)
- エンジニアリング設計手法、及び保守技術・手順の確立
- (4)
- 給電電圧、接続コネクタ等のインタフェース条件の検討
4.今後の展開
高電圧直流給電システムの導入・普及には、給電電圧等の規定の標準化が必須です。このため、実証サイトにて取得したデータや条件については、国際標準化に向け、学会発表を始めとして関連企業や団体へ積極的に提供して行く予定です。
用語説明
- *1 NTTグループの「直流給電推進の取組み方針」について
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地球温暖化防止活動の一環として、NTTグループは省エネルギーに貢献できる直流給電の導入・普及に向けた施策を推進するとともに、新規技術(高電圧直流給電技術)の開発着手することを内容とする報道発表。
関連URL:http://www.ntt.co.jp/news/news08/0806/080605a.html - *2 ICT分野において、交流の給電電圧はAC100V,AC200Vが使用されています。
- 直流の給電電圧は、電気通信用として世界的にDC48Vが使用されています。 これに対して、DC300~400V程度の高い電圧範囲を高電圧直流と呼んでいます。日本国内における電気設備の区分としては、「電気設備に関する技術基準を定める省令(経済産業省令)」によりDC750V以下を低圧、DC750V~DC7,000V未満を高圧と定められています。
- 本件に関するお問い合わせ先
- (株)NTTファシリティーズ 総務人事部 広報室 TEL:03-5444-5112
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