1.背景 |
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近年、都市の廃棄物処理に関しては、廃棄物の量的な増大や質的な多様化に伴う処理コストの増加、中間処理場や最終処分場の逼迫の問題などが生じるなど、その処理方法の見直しが必要となっております。
そこで、1991年には「再生資源利用促進法」、1997年4月には「容器包装リサイクル法」が制定されるなど、都市の廃棄物処理対策として、リサイクル型の資源循環型社会への転換に向けた取り組みがなされました。
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2.現状の課題 |
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リサイクルの促進を進めるために積極的な分別回収の徹底やリサイクル施設等の処理施設の整備などを実施するにあたり、分別回収や処理施設整備に伴うコストの増大や処理施設・設備の環境性などを評価・検討する必要があります。
しかし、従来は廃棄物処理全体としての経済性・環境性に関する定量的な評価・検討ができなかったため、行政や地方自治体は単独施設の環境・機能面のみを考慮した計画・推進を行わざるを得ませんでした。
その結果、処理施設周辺地域では行政、地方自治体と住民との双方の間で理解、合意が得られないなど、様々な問題が生じております。
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3.開発のねらい |
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この様な背景からNTTファシリティーズと荏原は、対象地域における廃棄物処理計画案の経済性、環境性を総合的、かつ定量的に評価し、計画案の中から地域特性や様々な与条件を加味した最適案を抽出する計画支援用の解析ソフトを開発しました。
この解析ソフトは、各地域における廃棄物処理の最適計画案を抽出することが可能であり、この解析ソフトを用いることにより、地方自治体や自治体などから委託を受けた基本計画設計会社などが現状の廃棄物処理の評価や将来の廃棄物処理計画を立案し評価・検討する際の支援ツールとして活用することができます。
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4.開発した解析ソフトの概要 |
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(1) |
「Windows95」対応可能
この解析ソフトは、そのOSを「Windows95」としたことにより、高い操作性や汎用性を提供します。
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(2) |
経済性、環境性を考慮した総合評価・比較が可能都市の廃棄物処理計画案の経済性、環境性を定量的に評価・比較を行い、最適計画案を抽出することができます。
この解析ソフトでは、ライフサイクルコスト(イニシャルコストやランニングコスト)や最終処分量、リサイクル量の推定をはじめ、廃棄物処理施設・設備をライフサイクル(建設~運用~解体・廃棄)にわたって評価(LCA評価)し、廃棄物処理計画案の各処理過程(廃棄物の発生、収集・運搬、中間処理、最終処分の各過程)から発生する環境負荷(CO2排出量、NOx排出量、SOx排出量)を推定することができます。
これをもとに複数の計画案について評価・比較を行い、経済性や環境性、地域特性の観点から対象域における最適計画案を抽出する事が可能です。
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(3) |
様々な地域、処理方式、施設・設備に対応可能様々な規模の地域(人口、面積、分別方式、収集頻度、廃棄物排出量など)に対応可能です。また、厨芥をコンポスト化(堆肥化)する方式、ダイオキシン対策を施した焼却方式や次世代型の焼却方式を対象可能とするなど、多種多様な幅広い処理方式・施設・設備を対象とすることができます。
評価対象とする廃棄物処理施設・設備は、廃棄物の集積場、収集・運搬車輌、中間処理施設(焼却施設、粗大ごみ処理施設、リサイクル施設、コンポスト化施設)、最終処分施設です。
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◆解析ソフトの操作方法 >>
◆評価計算結果画面 >> |
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5.今後の予定 |
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今後はさらに解析ソフトのデータベースを充実させ、平成11年3月を目処に実用化します。そして、地方自治体向けに廃棄物処理施設・設備の企画提案、設計受注、コンサルティングなどの場で有効に活用していく予定です。
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*「Windows」は、米国Microsoft
Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
*「LCA」:ライフ・サイクル・アセスメント
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