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政府が普及に力を入れるエネルギー消費ゼロの建物「ZEB」とは

2019年5月15日

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 政府は、2030年までに温室効果ガスの排出量を大幅に削減することを目指しており、その取り組みの1つとして普及に力を入れている建物が「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」です。ZEBは、省エネ設備や再生可能エネルギーを活用することで、消費エネルギーを正味でゼロにする環境に優しい建物です。その注目は、政府の普及策とともに高まり続けているようです。今回は、そんなZEBの動向について紹介します。

政府がZEBの普及に力を入れる理由とは

 ZEBとは、年間の一次エネルギー消費量がゼロ以下になる建築物のことです。省エネ性能の高い設備を活用するとともに、再生可能エネルギーによる創エネによって、年間一次エネルギー消費の大幅な削減を目指します。

 日本政府はZEBの普及に力を入れており、2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、「2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現を目指す」という目標が掲げています。

 2015年4月にはZEBロードマップ検討委員会が設置され、同年12月、普及に向けたロードマップとともに、それまで曖昧だったZEBの定義に対して統一した見解が示されました。

 その見解に従って、ZEBは、従来の建物と比べて正味で100%以上の省エネルギー化を実現したものは「ZEB」、正味で75%以上が「Nearly ZEB」、50%以上が「ZEB Ready」と、従来は3つの段階に分けて定義されてきました。

 “従来”とわざわざつけたのは、2019年に入って新しいカテゴリーが新設されたため。政府は、評価基準に幅を持たせることで、ZEBを導入する際のハードルを下げようとしているのです。なお、新カテゴリーついては、次回詳しく解説します。

 その後も、設計ガイドラインの整備、プランニングをサポートする「ZEBプランナー」や導入実績を世間にアピールする「ZEBリーディング・オーナー」といった制度の充実、各種実証・補助事業、ポータルサイト「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」の開設といった施策が実施されています。

 何故これほどまでに、ZEBの普及に力を入れているのでしょうか。その理由は、増え続ける事務所ビル、商業施設などの建物のエネルギー消費にあります。1973年の石油危機以降、建物の最終エネルギー消費量は約3倍に増加し、現在では日本全体の約2割を占めるまでに拡大しています。

 日本は、CO2を2030年度までに2013年度比で26%削減するという目標を掲げています。それ達成するためには、業務部門の大幅な削減が必要であり、ZEBの普及が重要になってくるのです。

ZEBは消費者、投資家にアピールする武器になる

 ZEBの実現は社会へのインパクトはもちろん、導入する側の企業にとっても大きなメリットがあります。

 例えば、消費者の環境に対する関心は非常に高いものがあります。消費者庁による調査では、約半数の消費者が「環境に配慮した商品やサービスを選択する」ことを心掛けていると回答しています。

 さらに投資家も環境を大事な指標と認識し始めています。その中で盛り上がりをみせているのが、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を重視して投資を行う「ESG投資」です。その日本における投資残高は、2016年には56兆円程度でしたが、2018年には232兆円程度と4倍以上に急拡大しています。

 こうした動向を意識し、ZEBリーディング・オーナーなどの取得により、社外に向けてアピールをすることで企業のブランディングにつなげることができます。

ZEBを実現するための第一ステップ

 ZEBを実現するためにはポイントがあります。「パッシブ技術」と「アクティブ技術」、さらにそれに加え「創エネ」です。

 まずZEBの第一ステップともいえるZEB Readyから考えてみましょう。ZEB Readyを実現するためには、エネルギーの需要を減らすための「パッシブ技術」が欠かせません。そこには、建物の外皮の高断熱化、窓の日射遮蔽、あるいは自然換気や昼光利用といった技術が含まれます。

 加えて、エネルギーを無駄なく使用するための「アクティブ技術」、具体的には高効率の空調や照明といった設備を導入し、従来の建物と比べて50%以上の省エネルギー化を目指します。

 この「パッシブ技術」と「アクティブ技術」に加え、太陽光発電などによる「創エネ」を活用することで、正味で75%以上省エネルギーが進めばNearly ZEBに、正味で100%以上になればZEBとなります。

 先述した通り、2019年に入ってからは規制緩和が行われ、ZEB ReadyやNearly ZEB、ZEBよりも構築が容易な新しいカテゴリーも登場しています。これにより、さらに多くの企業にZEBの門戸が開かれました。一体どのようなカテゴリーなのでしょうか。次回は、その規制緩和の内容について紹介します。

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