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「Society 5.0」でまちづくりはどう変わるのか

2019年6月26日

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 国連が策定した、持続可能な社会を実現するための目標「SDGs」が注目を集めています。そこで掲げられている17の目標のひとつには、「住み続けられるまちづくりを」という都市をめぐる課題もあるのをご存じでしょうか。確かに国内の都市や地域を見ると、少子高齢化や防災といった問題が山積しています。政府はそうした問題を解決するために、「Society 5.0」という新しい社会の在り方を提示しています。今回は。ICTの力によって課題解決に挑む「Society 5.0」とは何か、そして、まちづくりにどのような影響を与えるのかを考察します。

Society 5.0で人は何から解放されるのか

 Society 5.0は、IoTやAIといったICTの力を活用することで新しい価値やサービスを生み出し、私たちの生活に豊かさをもたらす社会のことです。

 2016年1月22日に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」の中で、政府によって提唱されました。その中でSociety 5.0は、狩猟社会(Society1.0)から農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)へと至り、現在の情報社会(Society4.0)の次に到来する新たな社会として位置付けられています。

 情報社会とSociety 5.0の大きな違いは、情報活用における人の役割にあります。インターネットの普及によって到来した情報社会により、私たちはかつてないほどの大量の情報にアクセスすることが可能になりました。しかし、これまではインターネット上にあふれる情報から必要なものを探すのも、それらを分析するのも人が自ら行わなければいけませんでした。

 一方、Society 5.0は、様々な機器から収集された大量のデータをAIが高速で分析し、私たちにフィードバックする仕組みを前提としています。そこでは、人が情報を探す・分析するといった作業から解き放たれるのです。これは人が情報の作業者から受益者になるといえるでしょう。

 それによって多くの分野でイノベーションが起こり、都市や地域で山積みとなっている課題の解決につながると考えられています。

テクノロジーとともに変わるまちづくり

 これからのまちづくりを考える上で、少子高齢化や防災といった課題は避けて通れません。それらもSociety 5.0を実現することによって解消できると考えられています。

 例えば、地域に目をやると、少子高齢化による過疎化が急速に進んでいます。それにより、バスや電車など公共交通機関の利用者も減少。採算性を確保できなくなった路線から撤退する公共交通事業者も出てきています。その中で、高齢者の移動手段をどのように確保するべきか、多くの自治体が頭を悩ませるようになっています。

 その課題を解決するテクノロジーの一例が、自動運転運です。人の代わりにAIが目的地へと運転してくれる無人自動運転移動サービスが実用化されれば、高齢者の生活圏を維持・拡大することができます。

 また、輸送業界・運輸業界では人手不足が企業の足かせになりつつある中、ドローンを使った荷物の輸送も一部で実現しつつあります。ドローンなどによってビジネスのあり方がアップデートされることで、都市と地域の快適性の差も小さなものになっていくことでしょう。

 防災は、都市、地域に関わらず重要な課題となっています。Society 5.0では、人工衛星、地上の気象レーダー、ドローンによる被災地観測などからの被害情報をAIで解析し、被害状況を踏まえた情報が提供されるようになります。さらに、被災者の早急や救助といった観点から、アシストスーツや救助ロボットなどの利用を想定した街づくりが構想されています。

Society 5.0の現在地

 Society 5.0の実現に向け、現在どのような取り組みが進んでいるのでしょうか。

 先ほど紹介した無人自動運転移動サービスは、2020年頃には地域限定ですが公道でサービスを開始する予定です。2030年までには、同サービスを展開する地域を全国100か所以上にまで拡大する目標が立てられています。

 また、ドローンによる荷物配送は山間部で実証実験が始まっており、2020年度には都市部での検討もはじまる予定です。2019年6月25日~2020年2月28日にかけて、新東名高速道路でトラック隊列走行の公道実証が実施されます。これは、先頭のトラックを人が運転し、後続のトラックは電子的に連結して走行させるというもので、早ければ2022年に商業化される予定です。

 防災については2020年度末までに、自治体が発信する災害情報を集約し、テレビやネットなどの多様なメディアを通して一括配信する共通基盤の「Lアラート高度化システム」や、 複数の衛星等を活用して測位精度の向上をさせた「G空間防災情報システム」などが、それぞれ15の都道府県、100の地方公共団体に導入される予定です。

 このようにSociety 5.0の実現に向け、様々な分野でイノベーションが起きようとしています。それらの推進は、世界的なSDGsの課題を解決するためにも、日本における街づくりを考えるためにも欠かせないものです。企業においては、その波にどう関わればいいのかを注意深く見定める必要があるのではないでしょうか。

 次回は、SDGsの視点からまちづくりについて考えます。

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