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データ活用で社会的課題の解決に取り組む新しい「街づくり」とは

2019年12月4日

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 近年、IoTやAI、ビッグデータといった新たな技術が、都市においても大きな影響を及ぼすようになっています。そうした最新技術を活用し、社会や都市が抱える課題を乗り越えようという動きがあります。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する都市はスマートシティと呼ばれ、日本においても同様の取り組みが進んでいます。今回は、スマートシティの動向を、世界、日本、自治体という視点から追います。

“国土の3Dモデル化”など変わる街づくり

 ICTの進展とともに、街づくりの方法に大きな変化が訪れようとしています。世界では、ビッグデータやAIを活用し、社会や都市のあり方を変えようとする動きが加速しているのです。

 例えば、シンガポールは、国土全体を3Dモデル化した「バーチャル・シンガポール」の構築を進めています。これは、国土中にある建物や土木インフラなどをデータベース化したもので、都市設計のシミュレーションやインフラ管理など様々な利用方法が考えられています。

 カナダのトロントは快適な空間の創造するため、都市の各所にセンサーを設置。そこから収集したデータをもとに交通渋滞や大気汚染といったものをなくしたり、旅行者の行動履歴を都市設計に反映しようとしています。

 また、中国の杭州では、監視カメラからの道路交通情報に関するデータを解析し、交通事故、交通渋滞、交通違反などをすぐに把握できるよう整備を進めています。

 このように、街づくりにICTを積極的に取り込むことで、都市が抱える課題を解決しようという取り組みが世界で進んでいます。

Society 5.0の実現に欠かせないスマートシティ

  日本では、少子高齢化、都市部と地方部の経済格差といった課題が顕在化しています。こうした社会的な課題を、ICTによる力で解決しようと、2016年1月には「第5期科学技術基本計画」で「Society 5.0」の実現が目標に掲げられました。

 「Society 5.0」は、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)を融合させることで、人々に豊かさをもたらす新たな社会像のことです。政府は、その実装をスマートシティの実現を通じて行うということを、2019年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」の中で明記しています。

 スマートシティを実現するために、内閣府は「スーパーシティ」構想の検討を進めています。国家戦略特区制度をベースに、移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全という広域にわたり、規制改革やインフラ整備を積極的に進めることで、世界最先端の都市を実現しようとしています。

 また、2019年8月には、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省を事務局に、自治体や企業、大学間の連携を強化し、スマートシティの実現を推進する「スマートシティ官民連携プラットフォーム」が設立されました。ここでは、スマートシティ関連事業の資金面や知識面での支援、課題解決に向けた分科会の開催、構成団体同士のマッチングなどが行われています。

多様化する自治体の取り組み

 国の動きと歩調を合わせるように、自治体においてもスマートシティの構築に取り組む事例が増えています。

 観光関連の事例を紹介すると、北海道札幌市は、Wi-Fiやビーコンから人流情報、購買情報や交通情報など外国人観光客の行動履歴を収集し、オープンデータとして企業などが活用しやすいかたちで提供することにより、市内における消費を活性化しようとしています。

 香川県高松市の場合、レンタサイクルに取り付けたGPSから、利用者の訪問先、滞在時間などを把握。観光客が多く立ち寄る場所に、多言語対応の音声ガイドを設置するなどして観光都市として魅力をアピールしようとしています。

 災害対策に取り組む自治体もあります。兵庫県加古川市は、Wi-Fiやビーコンからのログや検知情報のほか、見守りカメラ情報などのデータをもとに、防災などの各種情報を閲覧できるWebシステム「行政情報ダッシュボード」を提供しています。

 エネルギーの効率化に取り組む神奈川県横浜市のように、需要者に対して電力料金などのインセンティブ条件を提示するなどして電力需給のバランスを保つ「デマンドレスポンス」により、業務・商業ビルの電力ピークカットを最大化しようという試みもあります。

 このように自治体においては、スマートシティを実現するために様々な取り組みが行われているところです。

 国や自治体がスマートシティの実現を目指す中で、企業の取り組みも活発になっています。次回は民間におけるスマートシティ関連の最新動向について紹介します。

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