ビジネスコラム

「デジタル庁」発足で加速する、工場の脱炭素化とDX

2021年7月28日

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2021年9月1日、新たな行政機関としてデジタル庁が発足します。日本政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、脱炭素化社会の実現に向け、さまざまな取り組みを支援しています。「デジタル庁」の発足により、デジタルトランスフォーメーション(DX)が推進され、脱炭素化とカーボンニュートラルの実現にどのような影響を与えるのか、今回はそのヒントを探ります。

デジタル庁発足で急務となる製造業のDX

 2021年9月1日、新たな行政機関としてデジタル庁が発足します。その影響は産業界にも及び、製造業のDXを促進する可能性があります。

 デジタル庁が創設された背景には、仮想空間と現実空間を行動に融合させて、経済発展と社会的課題の解決を両立する「Society5.0」というビジョンがあります。デジタル庁は、ニューノーマルの時代にふさわしいデジタル社会を築くため、今後5年で必要なインフラを整備するという目標を掲げています。

 デジタル庁のミッションの1つは、行政の電子化です。デジタル庁は、政府のDX関連予算を一括で管理する方針を示しており、政府の情報システムを統合し、使いやすい行政サービスの提供に加えて一般企業とのシステム連携を容易にする取り組みも行います。さらに、データ利活用の促進も掲げており、医療、教育、防災など、生活に密接に関連する分野のDX化にも力を入れるとしています。

 行政の急速なDX化は、一般企業にも大きな影響を与える可能性があります。すでに製造業では、IoTなどを活用してモノ作りの高度化を目指す「インダストリー4.0」に取り組んでいます。その過程で各企業はDXを推進していますが、日本全体で見ると製造業のDX化は遅れているという指摘もあります。

 今後、デジタル庁のめざす社会を実現していくためには、官民が力を合わせる必要があります。特に日本経済のけん引役でもある製造業のDX化は急務といえるでしょう。

製造業にとってカーボンニュートラルは「高い壁」

 製造業が対応を迫られているのは、DX化だけではありません。カーボンニュートラルへの対応も必須となっています。

 カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を、正味でゼロを目指す取り組みです。現在、世界各国がカーボンニュートラルに舵を切っています。経済産業省によると、2050年までに125の国や地域がカーボンニュートラルを実現するべく取り組みを行っています(2021年4月1日時点)。

 2020年10月には、日本政府も2050年カーボンニュートラルをめざすと宣言。予算2兆円規模のグリーンイノベーション基金、研究開発を優遇する税制といった施策により、企業の取り組みを後押ししようとしています。

国内外でカーボンニュートラルの動きが加速する中、製造業においても取り組みが広がりつつあります。米国のある企業は、2030年までにサプライチェーンも含めたカーボンニュートラルを宣言。これに対して70社以上のサプライヤーが協力を表明しており、その中には日本企業も含まれています。

 もともと日本の製造業は省エネルギー法への対応やコスト削減のため、積極的に省エネに向き合い、地球温暖化対策に取り組んできました。その結果、産業部門の二酸化炭素排出量は、2019年度に2005年度比で17.3%の削減を実現しています。しかし、カーボンニュートラルという意欲的な目標を達成するためには、さらなる取り組みが必要です。その中で、製造業の現場からは、省エネに関する努力が限界に近付いてきているという声も聞こえてきます。

 カーボンニュートラルの達成という高い壁を、製造業はどのように乗り越えればいいのでしょうか。そのヒントは、DX化にあります。

DX化がカーボンニュートラルの近道になる

 製造業はDX化の推進により、一般的によく言われている生産性の向上やビジネスプロセスの改革だけでなく、カーボンニュートラルの実現にも近づく可能性があります。

 昨今の製造業では、IoTやAIといったデジタル技術が積極的に導入されるようになっています。こうした製造施設や工場では、生産設備に取り付けられたデータ収集装置により、各種生産情報の取得、また、気象データなどの外部情報と連携・分析することで、さらなる省エネルギー化の推進を実現しています。

 ある食品メーカーでは、IoTやAIを活用したDX化で、洗浄や滅菌プロセスの最適化に取り組み、ボトルネックを見つけ出して改善を実施、それにより、大幅な省エネに成功しました。

 デジタル庁の発足を起点として、製造業だけでなく、あらゆる分野でDX化が実現すれば、新時代のビジョンである「Society5.0」だけでなく、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現にも近づくと思われます。データの統合や連携を推進するデジタル庁の動向を追うことが、DX化の可能性を見つけることにつながるのではないでしょうか。

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