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新しい生活様式に対応する「ワーケーション」という働き方

2022年5月11日

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 新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした働き方の多様化などにより、リモートワーク環境の整備が急速に進んでいます。場所を問わずに仕事をする人々が増える昨今、旅行先などで余暇を過ごしながら働く「ワーケーション」に注目が集まっています。ここではコロナ禍の新しい働き方の一つでもあるワーケーションが持つ可能性について紹介します。

「自分の時間」と「仕事の時間」の両立

 「ワーケーション」とはワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語です。観光地やリゾート地などでリモートワークにて業務をこなしながら、余暇を楽しむ新たな働き方のことをいいます。

 もともとワーケーションは、アメリカで忙しい社員の有給休暇取得を促すための制度として生まれたと言われています。日本でもインターネットの普及や通信環境の充実が後押しとなり、一部の企業などで導入されています。しかし、日本では「仕事は職場でするもの」という社会通念が強く、国内での普及は限定的でした。

 契機となったのは新型コロナウイルス感染症の拡大です。日本政府もリモートワークを推奨・支援したことで、感染対策として業種を問わずさまざまな企業が導入に踏み切りました。場所と時間に縛られず仕事をすることが珍しいことではなくなった現在、休暇による自分の時間と仕事の時間を柔軟に組み合わせることができるワーケーションという働き方に注目が集まっています。

ワーケーションのメリットと抱える課題

 そのワーケーションには、さまざまな面でメリットがあると言われています。ある実証実験では「ワーケーションは生産性・心身の健康にポジティブな効果がある」ことが示されています。

 政府が民間企業と行ったワーケーションモデル事業の実証実験では、「職場とは異なる地域に宿泊を伴いながら仕事と観光を両立した場合、どのような影響があるか」という調査を行いました。結果では、滞在前と比較して集中力や創造性、モチベーションなどが高まったとするアンケート回答が目立ちました。普段とは違う環境に滞在してリフレッシュすることで、仕事に良い影響を与えることがあるようです。

 ある大手企業では、一部の部署で有給休暇の取得率が低いことが課題でした。そこで、従業員から挙がっていた「旅行先や帰省先でリモートワークができたらいい」という意見を反映する形でワーケーションを導入しました。場所にとらわれず、リモートで対応できるようになったため、長期休暇が取りやすくなり、従業員の有給休暇の取得率向上につながりました。

 また、従業員にとって働き方の選択肢が増えることにつながるため、人材確保の面でもメリットがあると考えられています。ワーケーションの導入は将来的な企業価値の向上にもつながるのです。

 このように注目されているワーケーションですが、導入にあたって考えておくべき課題がいくつか存在します。

 ワーケーションを導入するにあたり、就業時間を従業員自身で決められるフレックスタイム制度など、柔軟な働き方に対応できる体制を整えておく必要があります。社外で仕事することを考慮したコミュニケーションツールの導入や、外部へデータを持ち出すことを考慮したセキュリティポリシーの策定なども行わなければなりません。さらに、滞在先への交通費をどこまで経費として認めるか、労災の範囲をどのように設定するかなども検討するべき事項です。

新たな観光需要として地域からの期待も

 受け入れ先となる観光地や自治体も、ワーケーションの普及による経済効果に期待を寄せています。平日の集客増や長期滞在者の増加は、地域経済全体に好影響を与えることになるからです。

 新型コロナウイルス感染症の対策による外出自粛や、諸外国からの来日観光客の減少、さらには少子化に伴う国内の旅行需要低下などが、観光地の課題となっています。ワーケーションは、観光地の新しい需要を掘り起こし、経済活性化と持続的発展につながるカギとなる可能性もあるのです。

 そのため、多くの自治体でワーケーション利用者向けの環境を整える動きが加速しています。商店街の空き店舗を活用したコワーキングスペースや、ワーケーション希望者に対応する窓口の設置など、新たな利用者獲得に乗り出しています。異なる自治体が連携してワーケーション希望者向けに情報発信を行う組織が設置されるなど、利用者それぞれのニーズに合わせて働き方や勤務場所を選べるような仕組みが整いつつあります。

 リモートワークの浸透は、多くの企業でこれまでと異なる働き方を受け入れる素地となりました。今では、オフィスだけでなく自宅や社外のコワーキングスペースからオンライン会議に参加するのは、珍しいことではありません。新しい生活様式、新しい働き方の一つとしてワーケーションを取り入れる企業が増えれば、オンライン会議にリゾート地から参加するのも当たり前になるでしょう。

 これまでは「仕事があるから休暇を取れない」という考え方が一般的でしたが、この基準も変わってくるのではないでしょうか。「仕事と休暇」の両立を実現するワーケーションは、日本人の生活様式や、休暇に対する考え方を変えてしまう可能性もあるのです。

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