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ビジネスコラム

建物の長期運用で「ファシリティマネジメント」が解決するものとは

2019年2月20日

 前回、日本社会は建物の長期運用を前提するストック型に移行していると紹介しました。その中で、1990年代初頭までに大量につくられた建物の運用が課題になっています。特に、複数の施設を保有する企業や自治体への影響は甚大です。
 課題解決のためには、建物や設備の管理手法である「ファシリティマネジメント」の活用が有効だといいます。その導入によって、大幅なコスト削減に成功している事例もあるのです。今回は、そうしたファシリティマネジメントの魅力について、成功事例も交えて紹介します。

ストック型とファシリティマネジメントの関係とは

 ファシリティマネジメントとは、土地や建物、設備、建物内の執務空間や共用部分までを含めた環境などを重要な経営資源と捉え、管理しようというマネジメント手法のことです。

 従来の施設管理では、劣化や故障などトラブルが起こってから、事後的に対処していました。 それに対して、ファシリティマネジメントは、将来に向けてファシリティをよりよい状態に保つという、計画的な考え方をとります。

 前回も紹介した通り、ストック型では、トラブルを見据えて対策を講じることや、効率よく運用していくことが課題になっています。例えば、空調機が故障する、外壁がはがれるといったトラブルが発生すると利用者の満足度低下にもつながりますので、そうしたことも考慮する必要があるでしょう。

 ファシリティマネジメントでは、建物や設備における運用管理の見える化によって問題を解決し、効果的な対策や効率的な運用、資産価値の維持を可能にします。

 では、どのようにファシリティマネジメントに取り組めばよいのでしょうか。

中長期整備計画がもたらす「2つの効果」

 ファシリティマネジメントは、まず保有する複数の建物や設備のデータを収集し、全体像を明らかにするところからはじまります。

 保有している建物や設備などの数や利用状況、老朽化の度合いなどのデータベースを作成。そこに蓄積されたデータを分析し、将来的な課題を明らかにした上で15~20年後までも視野に入れた中長期整備計画に落とし込んでいくのです。さらに、計画にもとづいてチェックや点検、予防保全、必要に応じて修繕を実施。運用の結果を評価するとともに、引き続きデータ収集を行いながら、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)といったサイクルを回します。

 PDCAサイクルにより、複数ある土地や建物に優先順位をつけて管理することで、運用コストを平準化できます。さらに、先手先手で事前チェック、点検、予防保全を実施し、劣化の進行を遅らせたり、故障を未然に防ぐことができ、資産価値の維持が可能となります。

 「運用コストの平準化」と「資産価値の維持」は、ファシリティマネジメントの大きな魅力といっていいでしょう。

 平準化についてもう少し説明を加えると、一般的に建物は竣工してから、大体15〜20年後の間に大規模な更改を迎えます。複数の建物で同時期に大規模更改が必要になると、多額の資金調達が必要になり、経営を圧迫しかねません。

 ファシリティマネジメントでは、施工管理する側の経験に加え、データベースを活用することで、3年、4年ごとに少しずつ更改を実施していきます。小中規模の修繕を計画的に実施することで、毎年の修繕や更新の費用について平準化を図ることが可能です。

 また、毎年いずれかの建物に改修があり、小さな工事がいくつもある状況ではコストの圧縮は難しいでしょう。ファシリティマネジメントの場合、また、これまで施設ごとで発注していた、同一内容の工事をまとめて実施することで、スケールメリットも得ることができます。

大幅なコスト削減に成功した事例も

 複数の拠点を持つ企業の中には、ファシリティマネジメントを活用して、大幅なコスト削減に成功している事例もあります。

 ある企業では、保有する何百という施設のうち、半数以上で、老朽化によるリスクが問題視されていました。そこで、簡易劣化診断や調査によって施設の状況を調査。老朽化した施設の状況を把握することで、整備の優先順位をつけることが可能になったといいます。

 また、中長期整備計画をもとに将来的な修繕や改修のコストを見える化し、年度ごとの投資負担を平準化することで軽減。ファシリティマネジメントの導入によって、億単位のコスト削減効果があったといいます。

 このように、ファシリティマネジメントを導入することで、保有する建物や設備の現状が明らかになり、中長期整備計画の策定が可能になります。その計画をもとに対策を実施していくことで、これまで後手後手で対応していた運用課題に対して、能動的に対応することが可能になるのです。

 日本社会がストック型へと移行し、建物の長期運用が前提となる中で、膨らむ運用コストや機能・性能面の低下など、さまざまなリスクが顕在化しています。そうした課題に取り組むために、ファシリティマネジメントは、特に多くの拠点を有する企業や自治体にとって重要な手法といえるでしょう。

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