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ビジネスコラム

企業を脅かす停電リスクの現状

2019年9月4日

 地震や集中豪雨、雷などの自然災害によって引き起こされる大規模停電や、瞬時電圧低下(瞬低)は、重要な設備の破損や運用停止などを招き、企業に大きな損害を与える危険性があります。様々なリスクや現状について、実例を挙げながら解説します。

避けられない自然災害による停電

 停電は世界中で起きています。今も一部の国では日常的に停電が起きており、人々があらかじめそれを想定しながら生活を送っているケースもあります。日本では電気の品質が世界の中でも非常に高いため起きにくいといわれていますが、もちろんゼロになったわけではありません。

 日本の停電回数と停電時間の統計を見てみると、2015年度の年間の停電回数は0.13回、時間にすると21分となっています。1985年度はそれぞれ0.90回、128分でしたから、それに比べて大幅に減少したことが分かります。いまや日本の電気品質は世界トップ水準に達し、停電も減少傾向が続いています。

 しかし、そうした状況にあっても油断はできません。現在でも自然災害を原因とした大規模停電が発生しています。特に2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際には、発電所の事故や停止などによって、東日本の電力供給力が一挙に低下しました。

 震災後の3月14日以降は、電力不足の懸念が広がり、首都圏エリアで計10日間の計画停電を実施する事態も発生しました。これは市民生活に影響を与えただけでなく、企業にも深刻な打撃を与えました。直接被災していない企業も含めて、製造業をはじめとする全国の多くの企業が生産停止や減産に追い込まれました。

日本初のブラックアウトが与えた衝撃

 東日本大震災以降も、自然災害の激甚化とともに大規模停電が度々発生しています。記憶に新しいところでは、2018年に起きた平成30年7月豪雨により、中国・四国地方を中心に約7.5万戸が停電しました。同じく2018年には、非常に強い勢力で上陸した台風21号によって、関西圏を中心に大規模停電が発生。約240万戸が停電しました。

 最近の大規模停電で最も注目を集めたのは、2018年9月6日に起きた北海道胆振東部地震による停電です。北海道胆振地方中東部を震源として発生したこの地震では、エリア全域におよぶ大規模停電(ブラックアウト)が発生しました。

 大きな自然災害にともなって大規模停電が発生することはこれまでにもありましたが、大手電力会社の管轄するエリアすべてで停電が起こるブラックアウトは、日本で初めてのことでした。そのためこの出来事は日本全国に大きな衝撃を与えました。

 ブラックアウトが起きた背景には、電気の需要と供給が常に一致していないと周波数が乱れてしまう電気の性質があります。これが崩れたことによって、電気の供給を正常に行うことができなくなり、発電設備などが故障しないように安全装置が発動にしたことよって発電所が停止しました。さらに、それをバックアップする他の発電所も停止したことから、ブラックアウトに至ったのです。

 この時の停電による被害額は、北海道によれば商工関係の被害額が約13億円、売上影響額が約1,318億円と推計されています。このように停電のリスクはいまだに無視ができません。さらに、体感できないレベルでの電力トラブルも日々発生しているといわれます。

瞬間的に電圧が低下する瞬低の影響は多岐に渡る

 電力トラブルは豪雨や大規模な地震だけでなく、雷などの様々な要因で発生します。

 中でも夏に多い雷は、電線を大地と絶縁するための碍子(がいし)という設備を破損させて停電を起こすだけでなく、「瞬時電圧低下(瞬低)」という電力トラブルを起こすこともあります。

 瞬低とは、電力系統に発生する事故が原因で瞬間的に電圧が低下する現象です。停電のように電気が停止することはありませんが、電圧の低下に敏感な機器等に大きな影響が出ます。なお、雷以外にも故障などによって電力設備に高い負荷がかかることで、瞬低が発生するケースもあります。

 その影響は多岐に渡り、例えば、コンピューターの破損によるシャットダウン、医療機器の停止や誤作動、エレベーターの停止などです。工場でも生産ラインの停止等が起きる可能性があります。

 2010年には、三重県のある発電所で瞬低が発生し、ある半導体製造工場でクリーンルームの空調設備が止まり、一部の生産ラインが停止しました。また、ある製油所では約9割を賄う自家発電設備が停止し、蒸留、脱硫などの全ての装置が一斉に停止しました。それ以外にも、多くの企業に影響が及びました。

 このように、自然災害などに起因する停電がいまだ企業経営を脅かす中で、どのような対応が求められているのでしょうか。次回は停電対策の基本となるバックアップ対策について解説します。

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