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CSR報告書 2019

社会インフラのレジリエント化

小径ドリル型削孔試験機を用いたコンクリート強度試験方法の開発

コンクリート強度試験とは、建物を構成するコンクリートがどれだけの圧縮強度を持っているか、ひいてはどれだけの耐久性が見込まれるかを測るものであり、コンクリートを使用することが多い現在の社会インフラを確実に構築・維持する上で不可欠となる重要な試験です。その調査方法としては、主にコンクリート躯体の側面を削孔(コア抜き)して調査する「コア採取法」が一般的です。しかし調査時にコンクリート内に埋設された鉄筋や配管を切断するリスクもあり、事前にX線で適切な位置決めを行うなど慎重な作業が必要です。
今回NTTファシリティーズでは、かねてより強度試験時の建物への損傷を極力少なくする試験方法を研究してきましたが、この度、わずか直径3ミリ深さ10ミリ程度削孔するだけで圧縮強度の測定が可能となる、小径ドリル型掘削試験機を用いた試験方法(ドリル法)を開発しました。
同ドリル法は、コア採取法に比べて削孔径が小さく浅いため、X線撮影による埋設物確認が不要であり、短期間に現地での確認が可能となります。構造躯体・外壁への影響少ない同調査法は、幅広い案件での活用に向けさらなる精度向上を図ります。

  • コア採取法とドリル法の寸法(サイズ)の違い
  • コア採取法とドリル法の寸法(サイズ)の違い

ドリル型削孔試験機の先端ビットは、わずか直径3mmです。一定の押し当て力・トルク値で、深さ10mm程度削孔するだけで、圧縮強度の測定が可能となります。これは、従来のコア採取法(直径100mm)の寸法差約30分の1(体積約2万分の1)になります。

コア採取法とドリル法の寸法(サイズ)の違い

文化・芸術施設のレジリエント化〜NHK交響楽団演奏所リニューアル工事

近年、地震の頻発をうけ、耐震面から建築基準法の改正が行われています。文化・芸術施設も例外ではなく、機能性と耐震性・安全性の両立の一層の強化が求められています。
このような中実施されたNHK交響楽団演奏所リニューアル工事で,NTTファシリティーズは設計・監理を担当し,メインの練習室である第1演奏室において,天井面と壁面を対象に落下防止対策の検討、計画を行いました。
リニューアルに際しては、大空間の第1演奏室の天井が、建築基準法が定める「特定天井(6m 超の高さにある200平方メートル超の吊り天井:構造躯体と同様のプロセスによる定量的な耐震設計が求められる)」に該当するため、天井・飾り天井・反射板の3層で構成される天井面にワイヤーケーブルとネットによる落下防止対策で安全性を確保する計画としました。また、これに伴い内装を木質化・不燃化するとともに、壁面についても防音壁の室外側にあるコンクリートブロック壁を撤去し、耐震性の高い乾式壁に改修することにより安全性を担保するなど、非構造部材の落下・転倒などから人命を守るための建物全体の安全性のさらなる向上に努めました。
音楽ホールの性能を必要とする特性上、リニューアルでは、建物に本来備わっている優れた音響性能を損なわないように、落下・転倒防止対策を行う必要があります。この実現には、天井面に一般的な落下防止用のワイヤーケーブルとネットを設置することで、既存の浮き構造による優れた音響性能を維持しつつ、美観を損ねないようワイヤーケーブルやネットも極力目立たない形で敷設する必要がありました。このため、天井面の衝撃荷重を計算し直したうえで、計画していたワイヤーケーブルのピッチを実測によって現状に合うよう柔軟に変更し、落下防止対策を行いました。

安全性と音響性能、景観にも配慮した天井

安全性と音響性能、景観にも配慮した天井

街区のレジリエント化〜寺家町周辺地区防災街区整備事業

兵庫県加古川市の寺家町は、古い町並みの性格上、木造建築物が密集する商業・住居混在の街区でした。このような状況を改善し街並みをレジリエント化するため、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(密集法)」に基づき実施された地域再開発プロジェクトが「リトハ加古川」(寺家町周辺地区防災街区整備事業)です。関係権利者が共同で行った同事業において、NTTファシリティーズは設計及び監理を担当しました。
同事業では、老朽化した建築物の撤去、幅員12mの市道寺家町31号線(防災道路)の新設、共同住宅棟や高齢者用施設棟、自走式立体駐車場棟の新築などを、関係権利者や事業コーディネーターとの協働により行っています。また、敷地内に防火水槽や雨水貯留槽の設置、共同住宅棟屋上に緊急救助用スペースを確保するなど、「安心・安全な街づくり」へ配慮した計画としています。
災害に強い街をつくる一方で、周辺の街とのつながりも重視しました。配置計画では、建物を分節することで市民が利用できる通り抜け通路を確保しています。また、「各店舗の個性が出せるように」という関係権利者などの強い要望に応え、建物低層部の店舗群は、各店舗が独自の“顔”を持てるようにファサードを個別にデザインできる仕組みとしました。リトハ加古川は街区の2面が既存商店街と向き合う形となっており、新旧店舗相互のにぎわい効果も期待したレジリエント化となっています。

リトハ加古川 外観

リトハ加古川 外観

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