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NTTファシリティーズ

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CSR報告書 2017 事業を通じ、さまざまなシーンで社会に貢献する。私たちNTTファシリティーズのCSR活動の成果をご報告します。

製品・サービスを通じた貢献

低炭素で省資源な社会を実現するため、企業には、自社の環境負荷の削減に加えて、環境性能に優れた製品・サービスを顧客に提供することも期待されています。NTTファシリティーズグループは、自社のグリーン化に加えて製品・サービスのグリーン化を積極的に推進し、環境にやさしい社会づくりへの幅広い貢献の在り方を模索しています。

太陽光による発電事業の積極展開

NTTグループには、50年間に及ぶ太陽光発電に関する取り組みの歴史があります。NTTファシリティーズはそれら世界有数の知見とノウハウを受け継ぎ、累計で600MW以上の発電施設を構築してきました。現在は、メガソーラーによる発電事業も積極的に展開しています。発電事業を通じて地球環境にやさしい再生可能エネルギーで地域に貢献すると同時に、メガソーラーに関するSI事業を拡大する契機としても活用しています。

*メガソーラー:発電量が1MW以上の大規模な太陽光発電設備。

メガソーラー発電事業の取り組み状況

私たちは、企業、自治体の太陽光発電システムの導入を企画・設計から構築・運用までトータルでサポートしています。また、国が推進する自然エネルギー普及・拡大や社会全体の環境負荷低減への貢献、太陽光発電に関する一層のノウハウの獲得・蓄積を目的として発電事業に取り組んでいます。
自然エネルギーである太陽光を利用して発電することで、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料の消費を削減することができ、燃料の燃焼で生じるCO2の排出量の削減に貢献しています。
現在までに、全国1,308ヶ所、449MW以上の太陽光発電システムの構築に携わりました。また、発電事業者として自社メガソーラー発電所を73ヶ所(203MW)構築・運営することで、環境に配慮した社会づくりをリードしています。(構築実績:2017年3月期末)

太陽光発電 O&Mサービスの推進

2012 年7 月にスタートしたFIT制度を機に、日本でも太陽光発電事業へと様々な事業者が参入し、現在、国内には規模の大小を問わず数多くの発電所が稼働しています。太陽光発電は水力や火力、風力発電に比べてメンテナンスが容易であることも普及を後押ししましたが、決して「メンテナンスフリー」ではありません。加えてFIT制度を活用した太陽光発電事業では、20年以上の長期にわたる安定的な稼働が重要となります。稼働年数を経た発電所も年々増加する現在、その運用(オペレーション)と保守(メンテナンス)を行い、安定した電量を確保するための「オペレーションメンテナンス(O&M)サービス」へと社会の関心が高まっています。
NTTファシリティーズは、日本全国の様々な設置環境や運用状況に対応して実施している、太陽光発電所のO&Mで培われた豊富な知見を活用し、定期メンテナンス、常時監視/駆付け対応および発電量評価という太陽光発電のメンテナンスに必要な3要素を全て満たす総合的なサービスを提供しています。まず定期メンテナンスは、北海道から九州に広がる420ヵ所の太陽光発電所で、自社社員による保守体制を構築し、設置環境に対応した設備特性の把握や、効率的な情報分析・共有などを徹底し、信頼性の高いメンテナンスサービスを構築しています。常時監視/駆付け対応サービスでは、IoTを先取りしたメンテナンス業務のモデルサイクルを構築。主要な設備に取り付けられた数多くのセンサからのデータや、全国260ヵ所以上の保守拠点から集められた定期点検結果と故障事例をFOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)で一元的に管理し、24時間365日のリアルタイム監視を行っています。発電量評価では、太陽光発電実証サイトFソーラーリサーチパークや全国に構築された自社の太陽光発電所で、経年変化も含めたきめ細かい発電特性評価を継続した結果として蓄積してきたデータをもとに、お客様の発電所の現状把握はもちろん、今後の状態変化に対してもプロアクティブに対応することができます。
NTTファシリティーズは、太陽光発電設備のスペシャリストとして、今後はビッグデータに基づいたIoT維持管理モデルサイクルを一層強化し、社会の持続可能性へと貢献する太陽光発電所のO&Mサービスの強化を引き続き推進します。

太陽光発電所における定期メンテナンスの様子

太陽光発電所における定期メンテナンスの様子

24時間365日,太陽光発電所をリアルタイム監視するFOC

24時間365日,太陽光発電所をリアルタイム監視するFOC

さらなる普及を後押しする、「Fソーラーパッケージ Mタイプ」の開発・販売

2012年の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」の開始以降、日本各地で太陽光発電所の構築が進んできましたが、更なる構築促進に向け、より効率的な発電システムの普及が期待されています。このような問題意識に立ち、NTTファシリティーズが開発を続け、2016年6月より発売を開始した「Fソーラーパッケージ Mタイプ」は、東西方向にM(エム)の形となるように太陽電池アレイを配置する「M字型アレイ工法」を用いた太陽光発電システムで、敷地面積あたりの太陽電池パネル設置容量で20〜40%、年間発電量で10〜30%の向上を実現しました。 同システムは太陽電池パネル、架台、制御システムがユニット化されているため、設計の手間を大幅に簡略化できることも特徴です。NTTファシリティーズは同システムの普及を通じ、日本各地で再生可能エネルギーの活用を促進します。

  • パース図

    パース図

  • 現物写真

    現物写真

「Fデータセンター」を通じた貢献

クラウドサービスの普及などを通じデータセンターが社会に浸透を続ける現在、それらの環境負荷を低減することは大きなインパクトを持つようになりました。NTTファシリティーズグループでは、お客さまに提供する「Fデータセンター」においてグリーン化を多面的に推進しています。

水を活用した冷却で、消費電力を大幅に削減する
間接蒸発冷却式空調システムの提供

データセンターでは、サーバーなどのICT装置を冷却するための空調システムの消費電力が非常に大きく、全体の4割程度の割合を占めると言われています。今後も社会の情報化の進展が予期されるなかで、空調システムの省エネルギー化の要望はますます高まっています。このような背景の中、欧米を中心に、大規模データセンター向けに注目を集めているのが、「間接蒸発冷却式空調システム」です。
この冷却方式の最大の特長は、水を使った冷却により、非常に高い省エネルギー性能を実現できることにあります。具体的には、熱交換器の表面に外気送風と水噴霧を行うことで気化熱によって冷却する「ウェットモード」を基本とし、年間を通じて外気や水の気化熱を活用した冷却を行います。これにより、主に電力を用いて冷却を行っていた従来型の空調システムと比較し、60%もの消費電力削減を実現します。
NTTファシリティーズは、間接蒸発冷却式空調システムでトップシェアを持つMunters Group Business Area Data Centers社およびその日本法人であるムンタース株式会社と事業提携し、日本のデータセンター市場向けに間接蒸発冷却式空調機「Munters DCiE」の提供を開始しました。同製品の提供に際しては、実際のデータセンターをモデルにした詳細な試設計を行うことで建物全体でのエネルギーコストのシミュレーションを行うとともに、日本のデータセンターの特性に合わせたカスタマイズ製品をムンタース社と共同開発することで、日本市場への適合性を高めています。
NTTファシリティーズは、建物設計と一体となった当社ならではの設備設計・製品企画により、これからも環境にやさしい情報化社会の実現に貢献していきます。

間接蒸発冷却式空調システムのLCC評価
間接蒸発冷却式空調システムのLCC評価

低価格版HVDC(高電圧直流)整流装置の販売開始

NTTファシリティーズでは省エネルギー化推進のため,2014年度から本格的にNTTグループの通信ビルならびにデータセンターへのHVDC(高電圧直流)給電システムの導入を進めています。
HVDC給電システムには,AC(交流)UPS給電システムと比較して導入後の運用まで含めたトータルコストを低減できるというメリットがあるものの,初期導入コストのより一層の低減が求められていました。この要望に応えるため,「HVDC給電システム導入促進のためにはAC UPS給電システム以下の価格の実現が急務である」という認識から価格低減に取り組んだ結果,装置単体で2014年度当社比30%以上の価格低減を実現したHVDC整流装置を新たにラインナップに追加しました。これにより,AC UPS給電システムと比較して構築コストを約5%低減したHVDC給電システムの提供が可能となりました。
NTTファシリティーズは今後も,周辺機器を含めたさらなる価格低減を継続し,HVDC給電システムのメリットを最大限に生かすためICT機器まで含めたパッケージ提案をベンダーと連携して行っていきます。そしてデータセンターやサーバールームなどへも導入を促進し,2030年を目処にNTTグループの主要な通信ビルの電源インフラをHVDCに統一することにより,ICT分野全体の省エネルギー化を推進します。

HVDC給電システム概要図
HVDC給電システム概要図

「FMACS-V hybrid(LL)」の販売開始

データセンターは年間を通じて冷房を行っており、空調用エネルギーを削減するためには、冬期には低温外気を積極的に利用することが有効です。
NTTファシリティーズでは、低温外気を有効に活用する空調機を開発し、2011年12月よりデータセンター用床置型空調機「FMACS-V hybrid」シリーズを販売してきました。同シリーズは、空調機として一般的な「圧縮サイクル」と、冷媒ポンプで冷媒を循環させる「ポンプサイクル」の2つのサイクルを外気温度に応じて自動的に切替えることにより、高効率な運転を実現し、消費電力を大幅に削減します。また、外部の空気を直接取り込まない間接外気冷房方式により、空気質の悪化や塵埃によるICT機器の故障リスクを回避します。さらに、冷媒ポンプは室外ユニットに内蔵されており、一般的なパッケージ空調機と同様の高い施工性・設置自由度を有しています。このたび同シリーズに新たに大容量タイプ「FMACS-V hybrid(LL)」を追加し、2017年3 月より販売を開始しました。新製品では、従来の制御方法に加え、グループ制御コントローラーによる複数の空調機のサイクル切替えを可能としました。これによりデータセンターの運用状態に応じて、圧縮サイクルと比較して消費電力の少ないポンプサイクルで運用する空調機台数を最大化させることができ、システム全体での高効率な運用が可能となり、試算では一般的な電算機用空調機と比較して最大63%の消費電力の削減を実現しています。

個別制御とグループ制御によるサイクル切替
個別制御とグループ制御によるサイクル切替

独自DCIMを活用した新たな施設保守サービスの提供

NTTファシリティーズは2016年4月、データセンター事業者に対して、独自のDCIM(データセンター資産管理)システムから得られた電力・空調設備等の運転情報を活用・分析し、改善提案を行う、新たな保守サービスの提供を開始しました。

データセンターは、社会の情報化に伴って大規模化するとともに、ICT装置の入れ替わり頻度も高まって運用が複雑化しています。運用の円滑化のためには、刻々と変化するICT装置の収容状況と、空調や電力設備といったファシリティの状況を常に把握する必要があります。状況が把握できていない場合には、安全のために設備を過剰に設置せざるを得ず、事業者の収支を悪化させるだけでなく、過剰設備のための環境負荷が懸念されます。したがって、ICT装置とファシリティの統合的な管理がデータセンター事業者の課題になっています。
このたび、NTTファシリティーズでは、サーバールームのICT装置の収容状況と、ファシリティの情報を一元的に管理可能な独自のDCIMを開発しました。このDCIMを活用した独自のデータセンター保守サービスでは、ICT装置の収容状況とファシリティの情報を統合して分析することで、データセンター事業者のファシリティの増設・更改等の計画を適正化し、設備が過剰に設置されることを回避します。
NTTファシリティーズは、データセンターの運用を支援することで、データセンターのライフサイクルを通じた環境負荷低減に貢献していきます。

Fソーラーリサーチパーク

サービス概要図

幅広い皆様のエコに貢献する製品・サービス

「EMコンシェル」の取り組み

現在、電力の小売全面自由化により電力販売ビジネスが活況を呈する一方で、通信やCATV サービス、ガス供給などをセットにしたサービスと共に、エネルギーマネジメント(EM)を核とする新たなサービスも注目されています。エネルギーの全体最適によって節電を可能にし、さらに地域の活性化にも貢献し得る実効性のあるソリューションが求められています。
こうした中、NTTファシリティーズは、これまで手掛けてきたエネルギーマネジメント(EM)や地域新電力事業などに加え、お客様の課題・ニーズに基づき、供給サイドではなく需要サイドの発想で最適なエネルギー活用をサポートする新サービスとして「EMコンシェル」を設け、2016年より推進しています。NTTファシリティーズは、NTTグループの約1万6千のビル、20万装置の運用・保守を行っている豊富な実績と確かな経験に基づき、NTTグループ以外のお客様に対しても、ビルのエネルギーマネジメントをはじめとする数多くの省エネルギー診断や省エネルギーコンサルティングを実施しています。同サービスの土台には、これら電気通信事業分野で培ってきたエネルギーマネジメントに関する技術・ノウハウがあります。これにもとづき、省エネを切り口とした設計から設備選定、施工、法令対応ならびに補助金申請の助言などをトータルに提案しています。自社の商品やサービスに留まらない多彩なソリューションを提供している点も特徴といえます。
社会の低炭素化、脱炭素化は、国連SDGsでも目標13「気候変動に具体的な対策を」ならびに目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に掲げられるなど、日本はもちろん、世界規模で取り組むべき課題として重要度を増しています。NTTファシリティーズは、引き続き、電力販売が目的の既存の電力会社とは異なり、使用量そのものを削減するという事業コンセプトで、EMコンシェルを提供していきます。

洗練された制御技術で空調の消費エネルギーを削減するSmartStream®-Xの開発

現在、施設の低炭素化は、多くの企業が直面する経営課題となっています。その実施にむけ大きなテーマとなるのが、主要なエネルギー消費源の一つである空調設備の省エネルギー化ですが、その実現には、設備投資の必要や導入施工時の業務への影響など、課題が多く存在します。
NTTファシリティーズでは、先進のICTを活用し、既存の空調設備はそのままに、空調機や熱源機、送水ポンプといった各種空調設備を統合・自律管理することで省エネルギーを実現する「SmartStream®」を開発。多くのお客様に導入してきました。さらに2016年1月には、その制御技術を更に洗練し、機能を分割して段階的に導入することが可能な「SmartStream®-X」の販売を開始しました。具体的には、人工知能を持つ制御装置を①冷却水ポンプ、②2次ポンプ、③熱源機、④空調機の制御盤にそれぞれ組み込み、その制御装置が省エネルギー制御をおこないます。また、無線による通信機能により、各制御装置の情報をネットワークで共有させ、連携することで従来の中央一箇所の自律制御盤と同等の働きをします。これにより、より多様な施設への柔軟な導入が可能となりました。

「SmartStream®-X構築イメージ」
「SmartStream<sup>®</sup>-X構築イメージ」

電力販売と省エネソリューションを組み合わせた
kWhale(クウェール)を販売開始

2016年4月より、規制緩和の一環として、電力小売りの全面自由化がスタートしました。これにより、国内のすべての家庭およびオフィスが電力の購入先を選択する事が出来るようになりました。NTTファシリティーズでは、これを契機に電力小売り事業を推進。電力販売と省エネをパッケージしたサービス「kWhale」(クウェール)の販売を開始しました。
同サービスには、NTTファシリティーズが本業とする省エネソリューションの蓄積が活きています。具体的には、第一弾として4月にサービスを開始した「LEDパッケージ」は、従来より数多くのファシリティ管理で展開してきたLED照明のラインアップと設置ノウハウを基に、電力供給とLED設置をセットで販売するものとなっています。今後は、これを一歩進め、最新の空調システムとのパッケージプランなども販売する方向で準備を進めています。
これらの取り組みを通じ、NTTファシリティーズでは、電力販売を契機に社会の幅広い皆様へと省エネソリューションを提供し、社会の低炭素化に貢献したいと思っています。

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