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NTTファシリティーズ

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CSR報告書 2015 事業を通じ、さまざまなシーンで社会に貢献する。私たちNTTファシリティーズのCSR活動の成果をご報告します。

リスクマネジメント・BCP対策の強化

自然災害をはじめとするさまざまなリスクに備え、また、有事にも揺るがずサービスを提供し続けることは、社会に対する基本的な責任です。NTTファシリティーズは、グループ横断で、リスクマネジメントとBCP対策の強化を続けています。

大橋事例 ~レジリエントなファシリティづくりへの挑戦~

強靭さと安定性は、安心・安全の両輪

現在、災害に強いインフラづくりに向け、「レジリエンス(強靭さ)」がキーワードとして着目されています。このようななか、有事にもダウンすることなく稼働し続ける強靭なファシリティづくりは、安定的に顧客サービスを提供し続ける社内体制づくりとならび、NTTファシリティーズの考える「安心・安全」の基本要素となっています。

東日本大震災を教訓に、備えを加速

2011年の東日本大震災では、東日本の各所で重要な施設が損傷をうけ、ライフライン停滞の一因となりました。これを教訓に、新大橋ビルでは、震災への備えを安全・安心なファシリティづくりの最重要課題と位置づけ、抜本的で革新的な研究を進めています。

震災後の建物の安全性を解析し「見える化」する「揺れモニ」

地震の後、建物の継続使用の可否を含む安全性検証を速やかに行うことは、安全・安心の観点からも、また顧客満足の観点からも、極めて重要です。
NTTファシリティーズが開発した建物安全度判定サポートシステム「揺れモニ」では、数多くの建物設計で培ったノウハウと震災後の復旧の経験をもとに、自社の持つ3次元振動試験システム「DUAL FORCE」での実証実験を繰り返し、独自の高精度な観測・分析システムを構築しています。この結果、信頼性の高い安全度を即座に判定して、被害の度合いを分かりやすく「見える化」することが可能となり、入居者に対し安全性の速やかな情報提供を実現しています。

モニタリング技術と連携する可変型制震構造システムを構築

新大橋ビルでは、「揺れモニ」で用いる建物の加速度計に加え、躯体各部に設置したひずみ計によるデータも集積しています。これらの多面的なデータを独自の構造解析システム「SEIN」で解析することで、解析モデルの精度向上が可能となります。
加えて、同ビルでは、建物の骨組各部に設置したダンパーの変更や追加など、制震構造システムの見直しを繰り返しています。これらの先進的な可変型制震構造システムによる実証的な検証を通じ、NTTファシリティーズは、柔軟で有効な制震構造づくりをめざしています。

※「SEIN」は株式会社NTTファシリティーズ総合研究所が提供する構造計算プログラム

構造計算プログラム「SEIN」

可変型制震構造システム概要
可変型制震構造システム概要図

揺れモニ(商品・サービス紹介)

リスクマネジメント・BCPの仕組み

確実なリスクマネジメント・BCPを実現するには、まず、適切な対応を迅速に講じる体制づくりが大事であるという認識に立ち、トップ主導のリスク管理・有事対応体制を構築し、日々、「もしも」に備えています。

リスクマネジメント体制

NTTファシリティーズでは、事業活動上のリスク回避、サービス品質の維持に関する全社的施策、方針の決定、事故等の原因究明や再発防止策等の検討を行うため、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を2007年4月に設置しました。迅速かつ適切なリスクマネジメントを行うことにより、事業活動における損失の未然防止・最小化を図っています。

災害・防災対策と事業継続計画

NTTファシリティーズ本社では、地震や台風といった自然災害などによる、事業活動への影響を最小限に抑えるため、あらかじめ手順や情報を文書化し、緊急時の対応について備えています。
2012年10月に「災害対策マニュアル」の改訂を行うとともに、2010年11月に「事業継続計画書およびインシデントマネジメント計画書」を策定し、2012年10月には内容を見直すべく、改定を行いました。

2014年度ファシリティーズ・F中央防災演習の実施

NTTファシリティーズでは、毎年、総合防災演習を実施し、有事に備えています。2014年度は2月25日に実施し、休日に首都直下地震の発生により、災害対策本部の設置に時間を要するケースを想定し、FOCによる初動統制、関西事業本部による本社機能代行を実施した後、災害発生翌日に本社災害対策本部を設置する演習を行いました。
演習にはファシリティーズ本社災害対策本部員および関西事業本部、県域支店等の総勢105名が参加し、災害時における本部設営訓練、行動訓練などを3時間で行いました。

  • 防災演習の様子 画像01
  • 防災演習の様子 画像02

防災演習の様子

食料など非常用物品の備蓄

NTTファシリティーズグループでは、災害復旧作業に従事する社員の食料などを各勤務場所に備蓄しています。備蓄量は、「社員総数×30%×3日間」です。さらに、災害時の帰宅困難などに備え、3日分の水、食料などを各勤務場所に備蓄しています。

設備の安定性と信頼性を確保する取り組み

信頼性の高い設備を構築し、それを有事にも安定的に運用し続けることは、お客さまの安心・安全に直結する重要なサービス品質です。社会のインフラを支える事業者として、先進の技術と確かなノウハウを活用したファシリティづくりを多面的に推進しています。

FOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)

地震、台風・集中豪雨、落雷といった自然災害の多発や大規模停電の発生などにより、建物や設備の信頼性を確保し企業経営をサポートするオペレーションの重要性が改めて注目されています。
NTTファシリティーズは、長年にわたってNTTグループをはじめとする全国のお客さまに提供してきた監視・保守サービスの高信頼化・高効率化を図るべく、建物・電力・エネルギーに関する多様なオペレーションサービスを融合し、トータルで提供する新たな取り組みを開始しています。
その第1ステップとして、2012年9月には東日本オペレーションセンタとカスタマセンタを統合し、トータルオペレーションセンタの役割を担う「FOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)」として新たなスタートを切りました。
単にお客さま設備を監視・保守するだけでなく、お客さま設備の運用全般に責任を持ち、現場から得られる監視・点検・設備データなどの情報を分析して設備マネジメントサイクルと連携した更改・改善提案につなげていくという、FM(ファシリティマネジメント)のプロフェッショナルである当社ならではの取り組みも実施しています。
また、2013年7月にはFOCに西日本オペレーションセンタを統合し、FOCと全国180カ所のサービスセンタとの連携のもと、24時間365日体制で多様な監視・保守サービスを提供しています。
緊急時やお客さま設備での万が一のトラブル発生時には、FOCから連絡を受けたサービスセンタの保守スタッフが現場に急行し、迅速かつ円滑に対処します。保守スタッフによる駆け付けサービスは、現場を支える「人の力」というNTTファシリティーズの強みを活かした万全のサポート体制と言うことができます。

FOCの「コマンダーデスク」

FOCの「コマンダーデスク」

Power Meister Car (移動式技術支援車)

NTTファシリティーズでは、2012年3月に開発・導入した「Power Meister Car」により、保全業務における作業手順に準じた事前の実機動作確認や故障時動作の追体験・実機解析などを、全国どこでも自由に実施できるようになりました。
本車両は、車内に発電装置を搭載し各装置へ給電することにより、車両単体での実機体験を可能としたもので、本車両を1つのビルに模して監視環境を構築しており、操作と連動した警報動作確認も可能です。
各拠点を回り、実機操作による習熟訓練とともに作業上の危険ポイント確認など、安心安全な保守サービスの提供に向けた実践的な演習を実施しています。

  • Power Meister Carによる作業の様子 画像01
  • Power Meister Carによる作業の様子 画像02

Power Meister Carによる作業の様子

吊り設備に関する耐震対策

東日本大震災により、天井や吊式空調機器などの落下現象について多数の報告がありました。これらの事象は過去に経験したことがない事象のため、その原因が不明でした。特に100kgを超える空調機の落下は人命を奪いかねない危険性があるため、原因究明と対策方法の確立が急務でした。
NTTファシリティーズでは、吊り設備機器の落下原因究明と対策方法を確立させるため、当社保有の3次元振動台「DUAL FORCE」を用いて、落下再現実験、対策検証実験を繰り返すことで、その原因の究明と対策方法を確立することができました。落下原因の一つは、長時間地震動による吊ボルトの延性破壊*1であることがわかりました。また対策については、長時間地震動にも耐え得る接合部材や、要求性能レベルに対する対策方法の資料化、ブレースを取り付けることができない場所での耐震対策方法などを開発しました。
今後は、振動実験結果を用いた吊り設備機器の落下診断技術の開発や天井などの耐震対策技術開発への展開などを予定しています。これらの対策技術を用いて、社会全体の災害対策の向上に貢献したいと考えています。 

*1 延性破壊:
物体に力を加えたときに、塑性変形(外力を除去した後に残る永久的な変形)が発生し、その塑性変形が大きくなり破断する現象。
3次元振動台「DUAL FORCE」による実験の様子

3次元振動台「DUAL FORCE」による実験の様子

「ビルマネージャ」制度の積極的な推進

近年、オフィスのIT化、ネットワーク化を背景に、情報通信ビルだけでなくオフィスビルにおいてもミッションクリティカルに対応する管理サービスの提供が期待されています。このような中、NTTファシリティーズでは、ミッションクリティカルなビル設備のリスクを常に把握し、設計・工事・保守維持管理部門を通じ確実にリスク低減の取り組みが実行されているかを常に確認する責任者として「ビルマネージャ」制度を設けています。
ビルマネージャは担当するビルごとに、個々の日常業務や設備管理業務が適切に運用されているかを確認すると同時に、システムダウン等の有事においては適切な応急措置ならびに迅速な復旧への手配を行います。
NTTファシリティーズは、ビル設備運用全般のマネジメントを担当し、有事のリスクに常に目を配るビルマネージャの育成を、顧客満足に直結する重要な経営課題と位置付け、独自の資格認定制度を設け、社員に資格取得を推進しています。2015年9月現在、628名がビルマネージャに認定されています。

ファシリティマネジメントにおけるBIM活用を通じた、安心・安全の追及

BIM(Building Information Modeling)とは、コンピューター上に作成した3次元の建物のデジタルモデルを指します。
2000年代に入り、建物の建設・施工の現場で急速に広まりつつあるBIMですが、近年、建設後のファシリティマネジメントへの活用が注目されています。具体的にはBIMが集積した、構造情報や管理情報などの建築物のデータベースを建物の維持管理業務に情報活用することで、コスト面のみでなく業務効率的にも大きな効果が期待できます。
NTTファシリティーズでは、更に、有事における建物への影響のシミュレーションなどを加味し、より精度の高い防災計画やBCPの策定が可能とするなど、ファシリティマネジメントの重要な要素である「利用者の安心・安全」の向上を模索しています。特に新大橋ビルでは、BIMデータのFMシステムへの移行を実証的に展開し、さまざまな効果を確認しています。

BIMの画像

BIMとFMシステムの連携イメージ

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